
契約転換制度について
生命保険に加入している方で、定期保険の契約更新時などに契約転換制度を勧められたことがある方もいると思いますが、契約転換制度をそもそも知らなかったり、どんな内容かよく知らなかったりする方が多いのが現状だと思います。契約転換制度は仕組みが少し難しい制度でもあるため、トラブルが多いものでもありました。現在では法律の改正によって少なくはなってきましたが、生命保険に加入している方ならば、知っておいた方が良い知識ですので、今回は契約転換制度とはどんなものか見ていきたいと思います。
契約転換制度とは
契約転換制度とは、契約中の保険を一度解約した形にして、それで得たお金をもとにして新しい保険に加入し直す仕組みのことを言います。車を購入する際に使っている古い車を下取りしてもらうことと同じですので、保険の下取り制度のようなイメージをしてもらえれば分かりやすいと思います。具体的には、既契約の転換部分(解約返戻金や積立配当金など)を新たに加入する保険の保険料の一部に充てるものになります。
契約転換制度は主に定期付終身保険へ加入している際に、定期保険特約の更新時に勧められることがよくあります。なお、契約転換制度の利用条件として、同じ生命保険会社でなければ利用できません。
契約転換制度の3タイプ
保険の下取りのような契約転換制度ですが、転換の仕方には3種類あります。以下、それぞれの種類の内容を紹介致します。
【基本転換】
基本転換は古い保険の転換部分を、次の新しい保険の終身保険のみに該当させる方式のことを言います。したがって、終身保険の保険料だけが軽減されます。
【定特転換】
定特転換は古い保険の転換部分を、次の新しい保険の定期保険特約のみに該当させる方式のことを言います。したがって、定期保険特約の保険料のみが軽減されます。
【比例転換】
比例転換は古い保険の転換部分を、次の新しい保険の終身保険と定期保険特約の両方に該当させる方式のことを言います。したがって、保険料は終身保険、定期保険特約の両方が軽減されます。
契約転換制度のメリット・デメリット
契約転換制度のメリットは大きく2つ挙げられます。
① 新規で加入するよりも保険料が安くなる
既契約の保険の解約返戻金や積立配当金などの、転換価格を次の新しい保険の保険料へ充てることができるので、新規で加入するよりも保険料が安くなります。ですから、同じ保険会社内で保険商品を乗り換える際は、転換制度を使うことでお得になることがあります。
② 支払う保険料を変えずに大きな保障を確保することができる
契約転換制度で新しい保険に加入する際に、既契約より保障額を上げたい方もいると思いますが、その時に転換部分を充てることで支払う保険料を変えずに、以前より大きな保障を確保することができます。
契約転換制度の注意点
契約転換制度はトラブルが多かったように、注意しなければいけない点が幾つかあります。
① 保険料は再計算される
転換といっても、形としては見直して再加入することになるので、保険料は転換時の年齢で再計算されることになります。そのため、既契約と支払う保険料が同額である場合は、終身保険の保障額が減額されていたり、支払い期間が延長されたりすることがあるので注意が必要になります。
② 予定利率は引き継がれない
既契約の保険が古い保険であるほど、予定利率が現在より高いことがよくありますが、契約転換をすると予定利率は現在の予定利率へと変更されてしまいます。そのため、場合によっては損してしまうこともあります。
③ より大きな保障額を確保する場合は、終身保険の保障額が減ることも
大きな保障を確保しようとする場合は、その分終身保険の保障額が減額されることがあります。そのため、このことを知らずに保障額を増やしてしまうと、老後に備えていた貯蓄部分のお金が減ってしまい困ることもあります。ですから、こちらも注意することが必要です。